入浴の不安を「ここちよい」に変える機械浴槽 3つのポイント
入浴は、心身ともにリラックスできる大切な時間。介護が必要な状態であっても、それは変わりません。「今日のお風呂は気持ちよかった」「安心してゆったりできた」と感じていただけることは、生活の質を高める上でとても大きな意味を持っています。
しかし、機械浴の現場では「抱え上げられるのがこわい」「急に冷たい水がかかった」「天井しか見えなくて、何をされているかわからない⋯」といった声が聞かれることも。こうした不安や戸惑いの積み重ねが、入浴そのものへの抵抗感につながってしまうこともあるのです。
だからこそ、機械浴槽を選ぶ際には、介助のしやすさや施設運営の効率化といった視点に加えて、「入浴する方はどう感じるだろう」という視点も持っておくことが大切です。
そこで今回は、入浴者の方に「ここちよい」と感じていただくために、機械浴槽の選定時にぜひ見直したい3つのポイントについてご紹介します。
①「見える」ことが安心感の土台になる
入浴中の不安のひとつに、「自分がどういう状態にあるかわからない」という感覚があります。特に仰向けの姿勢になると、周囲の様子が見えにくくなり、自分がどこへ移動しているのか、これから何がおこなわれるのかわかりづらくなることも。身体を預けるしかない状況は、人によっては大きな不安につながります。
そこで注目したいのが、「座った姿勢のまま入浴できるか」という点です。
(写真)アダージオ HK-8250
座位が保てる状態で、自分の目の前にお湯や浴槽の縁が見えている。それだけで、入浴者は「今、お風呂に入っている」という実感を得やすくなります。周りが見えることで「次に何が起こるか」がわかりやすく、また介助者とも目線を合わせやすいので、不安が和らいでいきます。
「アダージオ サイドイン」や「アダージオ」のようなチェアーインタイプであれば、搬送車に座ったまま浴槽にドッキングできるため、自然な流れでお湯に浸かることができます。
(写真左)アダージオ サイドイン HK-5250
(写真右)アダージオ HK-8250
また、浴槽の中でラクな姿勢を保てることも重要です。身体がぐらつかず、自然な姿勢で安定していることは、「ここは安全だ」という安心感に直結します。
「アダージオ サイドイン」の昇降式車椅子(RA-5250) や、「アダージオ」の搬送車 座位タイプ(RA-8250)は、軽い力で傾斜できるチルト機構を搭載。身体のずり込みを防ぎ、安定した姿勢を保ちつつ、リクライニングでリラックスした状態で入浴できます。
(写真) 搬送車 座位タイプ RA-8250
コンパクトな設計の「トゥッティ」も同様に、ゆったりと座った姿勢のまま入浴することができます。
(写真) トゥッティ(循環式) HK-8150
「入浴者が周囲を見渡せる」「安心できる姿勢を無理なく保てる」ことが、入浴者の不安感を払拭することにつながると言えるでしょう。
②「じんわりあたたかい」ことが入浴の快適さに直結する
入浴前後で体が急に冷えてしまったり、突然熱いお湯に浸かったりすることは、心肺機能が低下している方や冷えを感じやすい方にとって、身体的な負担になることがあります。「リフレッシュしたかったのに、かえって疲れてしまった」とならないよう、あたたまり方のやさしさも選定の視点として大切にしたいところです。
ここで注目したいのは、「お湯がどのように身体に届くか」という点。
ミストやシャワーを活用した入浴スタイルには、身体をやさしく包み込むようにあたためられるという特徴があります。貯湯式のように浴槽へ入る際の急な温熱刺激が少なく、入浴前後の温度変化も抑えやすいため、入浴者にとって負担の少ない入浴につながります。
たとえば、細やかなミストで身体を包み込む座位型のシャワーバス「セレーノ チェアイン」。安定した温度管理で身体全体をあたためることができ、心肺への負担を抑えた入浴スタイルを実現しています。
(写真)セレーノ チェアイン HK-3800-S
5分ほどの短い入浴時間でも身体の芯まであたためられ、湯冷めしづらいことも特長です。
(写真)セレーノ チェアイン(HK-3800-S)での入浴後の体温変化を示すサーモグラフィ
寝たままでの入浴に対応する「セレーノ」でも、同様に肌あたりのやさしいミストで身体全体を包み込み、まるで湯船に浸かっているようなぬくもり感を得られます。
「気持ちよくあたたまった」という体験の積み重ねが、「入浴が面倒」から「入浴が楽しみ」へと入浴者の気持ちを前向きにしていきます。
③「揺れない」「持ち上げられない」ことが恐怖感を遠ざける
入浴中に強い不安を感じやすい瞬間のひとつとして、特に考慮しておきたいのが「身体が宙に浮く」という感覚。ストレッチャーに寝た状態で持ち上げられる、あるいは浴槽に移る際に身体がぐらつくなどの動きは、入浴者本人が予測しにくく、思わず身体が緊張してしまうことがあります。
そこで3つめのポイントとして見直したいのが、移乗・入浴の一連の流れの中で、いかに身体を揺らさず、持ち上げずに済むかという点です。
機械浴槽の中には、ストレッチャーを浴槽に押し当て、担架部分をスライドさせることでそのまま入浴できる「ジュスト」のようなタイプもあります。このような構造であれば、入浴者の身体を大きく持ち上げる動作が少なく、身体の揺れや不安感の軽減につながります。
(写真)ジュストHK-2550
「ジュスト」と同様に浴槽が上昇してゆっくりとお湯に入れる「レント」、静かな動作で担架が滑らかに浴槽へ降りていく「ショルト」も、身体への負担軽減を考慮したスムーズな入浴がおこなえる設計となっています。
(写真左)レント HK-2300
(写真右) ショルト HK-2270
入浴時の安心感は、「どのように移動するか」「大きな揺れ・不安定な動きがないか」によるので、非常に重要なポイントと言えます。
機械浴槽を選ぶことは「入浴体験の質」を選ぶこと
機械浴槽の選定は、介助のしやすさや施設の運営効率を考えるところから始まることが多いかもしれません。ただ、それと同時に「この浴槽で入浴したとき、どう感じるだろう」という視点を持って、移乗から入浴・洗身まで一連の流れをイメージしてみることで、見えてくる大切なポイントがあります。
- 周囲が見えて、安定した姿勢を保てるか
- 急な温度変化が少なく、やさしくあたたまれるか
- 身体が大きく揺れずに入れるか
入浴時の不安や不快感のない浴槽であることは、入浴の満足度やここちよさに大きく関わります。ひいては、それは「不安なく任せられる」という施設への信頼感にもつながっていくのです。
入浴を「ここちよく、楽しみな時間」として届けるために―
機械浴槽を選ぶ際には、「入浴者視点」も忘れずにいたいものです。